中国武術

外家挙は外面から体を鍛え剛力を用いる武術である。外家挙を代表する武術といえば少林挙。インドから来た菩薩達磨が少林挙の始祖であると言われている。菩薩達磨が少林寺で教えを授ける際に、体力のない僧侶を見て嘆き、彼らの心身を鍛えるために編み出したことが始まりとされている。

分類

  • 外家挙は外面から体を鍛え剛力を用いる武術である。外家挙を代表する武術といえば少林挙。インドから来た菩薩達磨が少林挙の始祖であると言われている。菩薩達磨が少林寺で教えを授ける際に、体力のない僧侶を見て嘆き、彼らの心身を鍛えるために編み出したことが始まりとされている。少林挙をはじめ、外家挙の素早く迫力のある動きは現在でも多くの人々を魅了し、心身を鍛える武術として引き継がれている。激しい運動を伴うので、若者に習得しやすい武術だと言われている。

  • 呼吸法を取り入れながら内面を鍛え、柔軟な力を用いる武術。太極拳、形意挙、八掛掌は内家挙の代表的な武術である。どの武術もゆっくりと流れるように鍛えていくので、かなりの集中力を要し、習得が難しいとされている。太極拳の起源は元代までさかのぼる。少林寺で修行をした張三豊が山にこもり、道教の思想と合わせて編み出したことから始まる。形意挙は五行説、八掛挙は八掛という風にそれぞれ中国の伝統思想と結びついて生まれている。現在では健康法のひとつとして注目されており、公園に集まり、太極拳をする人々の姿があちこちで見られる。

  • 太極拳の起源は多岐に渡る。張三豊が少林寺で武術を収めた後、山にこもって修行し、道教の思想や呼吸法などを取り入れ、生み出したという伝説。武術史研究家、唐豪が陳一族に伝わる武術を基に編み出したという説。多くある説の中で唐豪の説が有力とされている。唐豪が手本とした唐一族とは明代に河南省に強制移住させられた陳一族の家伝となっていた武術である。武術理論として王宗岳の「太極拳論」を重視していたため 、その名を取って現在の太極拳と呼ばれるようになった。現在では本家の唐家太極拳、そこから分派した楊式太極拳、武式太極拳をはじめ、多くの門派が存在する。 一方で太極拳の健康への効果は昔から知られていたが、誰でもすぐに習得できるような武術ではなかった。そこで第二次世界大戦後から中国政府は習得過程の簡単な新しい太極拳を編み出し、中国伝統文化の普及、及び国民の健康促進に努めた。現在では一般市民も手軽に楽しめる健康法として浸透している。

門派

●陳家太極拳

河南省陳家溝の陳一族によって編み出された武術。太極拳の本家大元。優雅で柔軟な動きと足で地面を強く踏みつける「震脚」、体内から激しく強い力を発する「発勁」が特徴的。

●楊式太極拳

陳氏14世、陳長興の弟子である楊露弾が創始。19世紀の北京に広め、彼の門弟によってさらに普及させた。柔軟でのびのびとした動きが特徴的。

●呉式太極拳

呉全佑とその子、呉鑑泉によって考案された。前傾姿勢と、細やかな動きが特徴的。中国国内だけでなく、香港を中心とした華僑の中でも有名。

●武式太極拳

楊露弾の友人である武兎襄が、陳清萍に弟子入りし陳家太極拳を習得した後、独自に新しい太極拳を生み出した。保守的な姿勢を取っていたため、継承者の数は極めて少ない。

●孫式太極拳

孫禄堂によって編み出された武術。八掛掌、形意挙、武式太極拳、それぞれの手法を組み合わせて作られている。開合と快速な活歩による動作が特徴的なため、開合活歩太極拳とも呼ばれている。

●和式(かしき)太極拳

和兆元が陳清萍に学び編み出した武術。陳家太極拳の影響は受けているが、動作内容の違いから、近年、太極拳の一門として認定された。

●鄭子太極拳

楊澄甫の弟子、鄭曼青が、楊式太極拳を37式にまとめた武術。楊式太極拳によりさらにしなやかで柔らかな動作であることから、楊式とは別の門派として認識されている。鄭子太極拳は、套路37式、楊式太極剣、推手、内功(気功)からなり、習得しやすい武術として、太極拳初心者に好まれている。鄭曼青がニューヨークで太極拳を普及させたため、主に欧米人の間で認知度が高い。

●形意挙

太極拳、八掛掌と並び、内家挙の代表的な武術。素朴でシンプルな動作が特徴的。 清朝末期、李洛能が戴氏心意拳を基に創始したと言われている。李の高弟である郭雲深、車永宏、宋世栄らによって伝承され、現在に至る。「三才式(三体式、三體勢)」という天、地、人の三才を表現とした姿勢が基本となっている。中国武術における練習方法の一つ、套路(とうろ)は門派によって異なるが、五行説にちなんでつけられた5種類の単式挙「五行挙」と、五行挙の応用系でそれぞれ動物を模した12種類の象形挙「十二形挙」は共通している。その他に、槍をはじめ、棍、剣、刀、暗器などの武器術も豊富。

●八掛掌

内家挙の代表的な武術のひとつ。古代中国から伝わる思想、八卦を技術理論の基本とした武術である。清朝後期、紫禁城の宦官であった董海川によって編み出されたとされている。現在では多くの門派が存在する。「擺歩」、「扣歩」、「趟泥歩」を用いて円周上を歩く「走圏」が基本歩型になっており、様々な歩法の習得が重要視されている。套路(とうろ)の内容は門派によって異なるが、8種類の基本的な套路の技術を組み合わせて体得していく。各種槍、刀、剣、棍など様々な武器術も存在する。舞うように柔らかくしなやかな動作が特徴的。