シリンゴル(錫林郭勒)盟観光

シリンゴル(錫林郭勒)盟は内モンゴル自治区の中部に位置しており、行政の所在地はシリンホト(錫林浩特)市にあります。「シリンゴル」はモンゴル語で「丘陵地帯を流れる川」を意味します。北はモンゴル、南は張家口、承徳市と繋がり、西はウランチャブ(烏蘭察布)市、東は赤峰市、、通遼市、興安盟と隣接しています。このように東北、華北、西北地方につながる交通の要衝でもあります。シリンゴル盟の総面積は202.6万㎢、人口は100万人を超え、総人口の66﹪を漢民族、30﹪をモンゴル族が占めています。

シリンゴル盟は乾燥型の大陸季節風気候に属し、風が強く、乾燥するうえ、冬になるとかなり冷え込みます。年間平均気温は0~3℃で、1月の平均気温は-20度、最低で-42℃まで下がることもあり、華北地方において最も寒い地方だと言われています。しかし、7月の気温は上昇し、平均気温21℃、局地的に39.度まで上がることがあります。また、年間平均降水量は295㎜と少雨であることが分かります。

シリンゴル盟の歴史は長く、大昔から北方系の各民族が労働や生活をした地域で、旧石器時代のものとされる人類の生活跡が見つかり、シリンホト市でも原始文化の遺跡が出土しています。商周の時代には狩猟や家畜飼育を行う部族が現れ、春秋戦国時代は東胡、紀元前3世紀ごろは匈奴族、西漢から晋にかけては烏恒族や拓跋鮮卑族、突厥族の支配下に置かれていました。その後も支配権が移りながら、1115年に女金族により金の国が建国され、完全に金の支配下とされました。13世紀、チンギスカンが中国を統一して元を建国させた後は、朝廷の第一の都である「上都」を目指し、大掛かりな工事が進められたと考えられています。明の時代の永楽年号になると「上都」を「開平前衛屯」と改称し、南部は王朝、北部はモンゴル族が管轄しました。1616年に「後金」と呼ばれる女金族を率いるノルハチが「清」を建国し、1761年にはそれまでの分散状態だった行政を統一し、「シリンゴル盟」という名称が生まれました。1928年、国民党時代には南部を「察哈尓省」に編入され、1946年には「察哈尓盟人民政府」と「シリンゴル盟人民政府」を設立し、翌年内モンゴル自治区の行政に変更されました。

シリンゴル盟は18万㎢にも及ぶ「シリンゴル草原」を中心とした豊富な自然環境に恵まれ、珍しい動植物などの生育地として世界四大草原の一つとして注目されています。そのためにユネスコによる生態観測システムに登録された中国国内の唯一の草原型自然保護区となっています。さらに重要な畜産業の発展基地にも位置付けられ、特に「モンゴル細毛羊」、「ソニド(蘇尼特)羊肉」、「シリンゴル馬肉」など良質な毛材・食材の出荷地として全国的にその名が知られています。

シリンゴル盟の主な観光スポットとしては、シリンゴル草原のほかに燕、秦、金の時代に建造された「古長城遺跡」、清の時代に建立された「古刹貝子廟(寺)」、近年発見されたアジアで最も完璧な姿の査乾諾尓竜の化石を有する「通古爾」などが挙げられます。

シリンゴル(錫林郭勒)盟観光スポット